ホテル望雲

夏の夕暮れどき、少々肌寒くなってきた温泉街で立ち止まる。
  昭和初期までは湯畑前、現在はしゃくなげ通りに面して建っている趣のある老舗旅館、草津温泉望雲。シャクナゲを模した切り絵を組み入れた灯篭が出迎える、とても落ち着いた雰囲気。待ちに待った至福の入浴タイムのはじまりだ。
  玄関から浴場までを歩く間、木の温もり溢れる造りに、思わず館内を見回していた。こちらの浴場は、大浴場 万代の湯・西の湯、遊山の湯があるようだ。宿泊客が全て楽しめるように、時間帯により男女入替制をとり、西の河原源泉と万代鉱源泉、両方を楽しめる仕組みとなっているという粋な心遣い。更に各浴室に露天風呂も完備。清潔で、照明の具合もちょうど良い。更衣室から湯船までは、動線上に滑り止めを施した踏み石が敷かれる細やかな気遣いも嬉しい。
  浴槽に注がれる源泉口温度は44度、浴槽の湯温は42度程度の西の河原源泉。掛け湯をし、期待感をふくらませつつ、そろりと入浴。「あ~、これは良い!」思わず唸ってしまう。2分も入ればじんわり心地よい汗が出る。半身浴でも十分に温まる。
  万代鉱源泉はさっぱり軽やかな入り心地。好みがわかれる万代鉱源泉であるが刺激を感じることのないまろやかさに驚く。
  内湯、露天風呂と複数あるが、熱湯好みの方は露天風呂でゆっくりじっくりいかが? ただし、入浴前後の水分は忘れずに。おっと、飲酒は入浴のあとにしてくださいね。入浴後2時間ほど経過してもまだ冷めない、心も体もぽかぽかになる温もりのおもてなし。文句なしのこだわり温泉に、ご主人や女将さんの誇りを感じずにはいられない。
  この機会に、西の河原源泉とご縁をもつのもおすすめだ。
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